睡眠中のノンレム睡眠とレム睡眠は周期的に繰り返され、このサイクルは一晩で3〜5回繰り返されます。ノンレム睡眠は深い睡眠段階で、体を休め、修復する時間です。一方、レム睡眠は脳が活発に働く時間で、夢を見ることが多い段階です。このリズムの中で、特にレム睡眠の時にブラキシズム(歯ぎしりや歯の食いしばり)が起こることが知られています。ブラキシズムは睡眠中の無意識的な動作で、歯や顎に過度な負担をかけ、歯の摩耗や顎関節の問題を引き起こすことがあります。
この睡眠リズムとブラキシズムの関係を調査することで、ブラキシズムの発生タイミングや原因を明らかにし、適切な対策を見つけることが目指されています。例えば、睡眠中の特定の段階でブラキシズムが頻繁に発生することがわかれば、そのタイミングを狙って治療や予防策を講じることができるかもしれません。
当院では睡眠脳波検査「InSomnograf(インソムノグラフ)®」を導入し、睡眠時無呼吸症候群の検査をおこなっております。
睡眠脳波検査「InSomnograf(インソムノグラフ)®」とは、筑波大学の国際統合睡眠医科学研究機構の柳沢正史教授が代表を務める株式会社S’UIMINによって開発された検査です。検査は、おでこに装着するシート型センサーで睡眠中の脳波を計測し、AIを活用して解析します。この検査は、医療レベルの精度(診断用PSG検査※との86.9%の同等性)で、睡眠状態を客観的に評価することが可能です。
「InSomnograf(インソムノグラフ)®」では、入院を伴う従来の睡眠検査(PSG検査)とは異なり、自宅にて2日~5日にわたって検査を行います。そのため、普段の寝室環境で自然な眠りを複数回測定することができ、検査環境の違いの影響を受けません。また、例えば飲酒後やストレスによって寝つきが悪かった日、しっかり眠れた日などの違いを客観的に評価することが可能です。
検査結果は、「InSomnograf(インソムノグラフ)®」のデバイスを返却後、2〜3週間以内にPCやスマホでレポートとして確認できます(サンプルはこちら)。なお、レポートは株式会社S’UIMINに所属する睡眠研究の専門家が作成しています。
※眠りの深さやノンレム睡眠・レム睡眠の判定は、アメリカ睡眠医学会(AASM)によって脳波データを30秒ごとに特徴に基づいて定義・分類されています。「InSomnograf(インソムノグラフ)®」は、AASMの睡眠ステージ判定を忠実に再現しています。
患者がブラキシズムの予備軍であると考えられる場合、まずは耳鼻咽喉科で睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診断を行います。無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が止まることがある病状で、これが睡眠の質を低下させるだけでなく、ブラキシズムを引き起こす可能性もあります。無呼吸症候群が疑われる場合、無呼吸の診断を確定するために精密検査が必要です。
無呼吸症候群の診断が下された場合、治療としては主に歯科での対応が行われます。無呼吸症候群の治療には、睡眠中に気道を確保するためのマウスピースを使用することがあります。この装置は、下顎を少し前に出すことで気道を広げ、呼吸の妨げを防ぎます。これにより、無呼吸の症状を軽減するとともに、ブラキシズムの頻度や強度を抑えることができる場合もあります。
したがって、このアプローチでは、睡眠リズムとブラキシズムの関係を理解し、無呼吸症候群の有無を確認した後、適切な治療を施すことで、患者の睡眠の質を改善し、ブラキシズムの予防や軽減を図ることができます。