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根管治療(歯の神経の治療)

抜歯と言われた方へ

末期的な歯周病や根尖病変の歯は、抜歯が必要になる場合が多いです。しかし、適切な根管治療(歯内療法)を受ければ助けられる歯が、抜歯されているケースも少なくありません。

当院では、マイクロスコープを使用した精密根管治療を行っています。「根の治療をしたのに腫れが引かない、痛みが取れない」、「抜歯を勧められたけれど、歯を残せる可能性はないか見てほしい」などがあればお気軽にご相談ください。

根管治療とは

根管治療は、むし歯が進行した歯の神経、細菌、古い充填材料などを、ファイル(細かい針状の器具)とマイクロスコープを使って丁寧に除去する治療法です。
根管治療は歯内療法とも呼ばれ、主に以下の三つの治療に分かれます。
まず、歯髄保存療法は、歯の神経をなるべく残す治療です。 次に、根管治療は、歯の神経がある管を治療する方法です。 最後に、外科的な歯内療法は、通常の根管治療では治癒が難しい場合に行う外科的治療です。一般的に、これらの治療は総称して根管治療と呼ばれます。
歯髄保存療法は、根管治療に移行しないようにする予防的な治療です。根管治療だけで治らない場合には、外科的な歯内療法を行います。

根管治療の成功率について

根管治療の成功率は、保険適用の治療では約50%、保険適用外の治療では約90%とされています。この差は、根管治療が非常に繊細で時間を要し、高度な技術と労力を必要とするためです。適切に細菌を除去できずに詰め物や被せ物を行うと、再治療が必要になることが多く、その場合の成功率は約60%以下にまで低下すると言われています。

自費と保険の根管治療の違い

根管内部まで確認できる「マイクロスコープ」

マイクロスコープは、根管治療において非常に重要です。保険適用内では抜歯を宣告されるケースでも、マイクロスコープを使用することで抜かずに治療できることがあります。
根管治療で重要なのは、根管内部の汚れを除去することです。根管内は複雑で、拡大鏡では対処できません。マイクロスコープを使うと根管内を確認し、見落としを防ぎながら正確で精密な治療が可能です。これにより、痛みや炎症の再発を防ぎ、根管治療の成功率を高めることができます。

「ラバーダム防湿」を行い、細菌の侵入を防止

「ラバーダム防湿」を行い、細菌の侵入を防止ラバーダム防湿は、治療部位をラバーダムシートで隔離し、唾液や細菌の侵入を防ぐ方法です。これにより、治療中の感染リスクを大幅に減少させ、高精度な治療を安心して行うことができます。患部を完全に隔離することで、治療の成功率をさらに高めることが可能です。

歯科用CTによる三次元的な解析

精密な根管治療を実現するためには、歯科用CT(3Dレントゲン)も重要な役割を果たします。通常のレントゲン検査では見えない細かな病変や感染の進行具合を、CTを用いることで詳細に把握することができます。これにより、正確な診断と治療計画が可能となり、根管治療の成功率を向上させます。

「充分な治療時間」の確保

根管治療は非常に精密で時間のかかる治療です。成功率を高めるためには、時間をかけた丁寧な治療が必要です。しかし、保険診療では1回の治療にかける時間や費用に制約があるため、十分な治療が難しいこともあります。当院では、患者様一人一人に十分な時間を確保し、最善の治療を提供することを心がけています。

ニッケルチタンファイルの使用

ニッケルチタンファイルの使用ニッケルチタンファイルは、根管治療において極めて重要な役割を果たします。一般的に、保険診療ではステンレス製のファイルが使用されますが、硬度が高く、直線的な根管に対しては効果的ですが、曲がった根管には柔軟性に欠けるため、完璧な治療が難しい場合があります。
一方、ニッケルチタンファイルは硬度と柔軟性を兼ね備えています。そのため、複雑な形状や曲がった根管にもしっかりと対応できます。自費診療での使用により、根管内部を隅々まで清掃し、細菌の完全な除去が可能となります。

使用する薬剤

根管治療で使用される薬剤には、主にNaOCL(次亜塩素酸ナトリウム)とEDTAがあります。NaOCLは塩素によって微生物の細胞膜や細胞壁を壊し、タンパク質を溶解します。安全性も高く、水道水にも使われる塩素とほぼ同じ成分です。一方、EDTAはスメア層などの無機質を溶解する働きがあります。
根管内を綺麗にすると、薬剤を詰めて治療を進めます。
保険治療ではガッタパーチャ(細いゴム)を使いますが、生体適合性が低く、歯根からはみ出すと炎症の原因になります。
自費治療では、生体適合性が高いMTAセメントが使われます。これは殺菌効果があり、菌の侵入や繁殖を防ぎます。

根管治療後の被せ物

根管治療の最後のステップは被せ物・被せ物をすることです。保険治療では、一般的に銀でできた土台や被せ物が使われます。これらの金属は硬くて丈夫ですが、割れやすくなったり、劣化しやすかったりします。その結果、細菌が侵入して再治療が必要になることもあります。
一方、自費治療では、土台には金やグラスファイバーなどの樹脂が使われます。これは歯とのなじみが良く、耐久性が高い特徴があります。また、被せ物には透明なセラミックや光沢のあるジルコニアなどが使われます。見た目が美しく、強度や適合性も十分です。隙間や割れも少ないため、長期間安心して使えます。

 

詰め物・被せ物について詳しく

根管治療が必要な症状

むし歯が進行して痛みがひどい

むし歯が進行して歯の神経にまで達すると、しみるような痛みや強い痛みが発生します。この状態では、痛みを和らげるために麻酔を施し、神経を取り除く「抜髄(ばつずい)」が必要になります。その後、根管治療を行い、歯の根管をしっかりと消毒して治療します。

歯の神経が死んでいる

むし歯の進行や外傷によって歯の神経が死んでしまうことがあります。死んだ神経は腐敗し、細菌が歯根の先にまで達すると、噛んだときに痛みを感じるようになります。この場合、根管治療を行い、歯の根管を徹底的に消毒することで痛みを取り除きます。

歯根の先に膿が溜まった

歯の神経が死んでから時間が経つと、歯根の先に歯根嚢胞(しこんのうほう)という膿の袋が形成されることがあります。歯根嚢胞は症状が出にくく、放置すると徐々に大きくなり、腫れや痛みが出ることがあります。原因は細菌感染であるため、根管治療を行い、根管内を徹底的に消毒します。

歯ぐきに白いできものができた

歯根の先に膿が溜まると、歯ぐきに白いできものができることがあります。これは膿の出口であり、放置すると感染が広がる恐れがあります。根管治療を行い、根管内を消毒することで、この白いできものも治癒していきます。

歯ぐきが腫れて痛みが出た

体調不良や疲労により抵抗力が低下すると、歯ぐきが腫れて痛みが出ることがあります。これは歯根の先に溜まった膿が急性化しているサインです。まず腫れを引かせ、その後に根管治療を行い、根管内を消毒します。

根管治療の種類

根管治療には様々な種類があります。抜髄や感染根管治療の他にも、歯髄保存療法や外科的歯内療法など、歯の状態や進行具合に応じて異なる治療法が選択されます。以下に、各治療法について詳しく説明します。

歯の神経が残せる場合【歯髄保存療法】

歯の神経(歯髄)にまだ生活反応がある場合、積極的に神経を保存する治療を行います。むし歯を除去した後、MTAセメントという封鎖性と殺菌作用を持つ特殊なセメントを使用して神経を保護します。この治療では、経過観察を行い、神経が保存できたかどうかを確認します。保存が確認できたら、歯冠修復を行い、歯を強化します。神経を残すことで、歯の自然な感覚を維持し、歯の寿命を延ばすことができます。

歯の神経が残せない場合【抜髄】

むし歯が進行して歯の神経が壊死してしまった場合は、神経を除去する「抜髄治療」を行います。壊死した神経を取り除き、根管内を徹底的に消毒します。その後、根管充填と呼ばれる治療で薬を隙間なく詰め、土台を作ってクラウンを被せます。根管充填が不十分だと再感染のリスクが高まるため、レントゲンで充填状態を確認しながら治療を進めます。

感染した根を治療する【感染根管治療】

歯髄が感染し、歯の根が細菌に侵された場合には「感染根管治療」を行います。この状態では、歯槽骨(歯を支える骨)も溶け始め、膿の袋(根尖性歯周炎)や歯根嚢胞が形成されることがあります。感染根管治療は、最初の治療が特に重要です。徹底的に治療し、再感染を防ぐためのメンテナンスを継続することで、歯を長持ちさせることができます。

上からアプローチできない場合【外科的歯内療法】

根管が狭く、器具が根の先まで届かない場合や、膿の袋を取り除く必要がある場合には「外科的歯内療法」を行います。この方法では、歯茎を切開して下から患部にアプローチします。最初から外科的治療を選択することはなく、通常の根管治療で問題を解決できない場合に行われます。外科的歯内療法の主な手法には、歯根端切除術や意図的再植術があります。

再根管治療

根管治療を行ったものの、再度根管が細菌感染した場合や感染部位が残ってしまった場合に行われるのが再根管治療です。この治療により、根管内の細菌を徹底的に除去し、歯を保存することが期待されます。初回の治療に比べて歯にダメージを与えるリスクがあるため、慎重な判断が求められます。

歯根端切除術

歯根端切除術は、根の先端を外科的に切除する治療法です。根管治療で症状が改善しない場合や、根の外に感染が広がっている場合に行います。
この治療は、根尖部の感染源を直接除去することで、再発を防ぎ、歯を保存するための最終手段となります。また、金属製の土台が除去困難な場合にも適用されることがあります。根管治療の結果を見て、歯根端切除術が必要かどうかを判断します。
これを行わずに抜歯すると、インプラントやブリッジなどの追加治療が必要になるため、歯を残すことが最善です。

根管治療の流れ

1検査・診断

まず、痛みや不快感の原因を特定するために、精密な検査を行います。レントゲンやCTスキャンを使用して、むし歯の進行状況や根管の状態を詳細に確認します。治療が必要と判断されたら、局所麻酔を行い、痛みを抑えます。次に、ラバーダムシートを歯に装着し、唾液や細菌が治療部位に侵入するのを防ぎます。

2むし歯と神経の除去

むし歯と神経の除去むし歯を削り、神経が見えるところまで歯を削ります。次に、細いヤスリ状の「ファイル」を使って、根管内の細菌に感染した神経を丁寧に取り除きます。このステップでは、根管内の壁を削り、空洞を広げて整えます。

3根管内の洗浄と消毒

根管内の洗浄と消毒根管内を徹底的に洗浄・消毒し、細菌を完全に除去します。その後、ガッタパーチャと呼ばれるゴム材料を根管内に隙間なく詰め、新たな細菌の侵入を防ぎます。

4被せ物の装着

被せ物の装着根管治療が完了したら、被せ物を装着します。大きく削られた歯には「コア」と呼ばれる土台を作り、その上に被せ物をしっかりと接着します。精度の高い被せ物を使用することで、再感染のリスクを最小限に抑えます。